あなたのキッチンにも?「永遠の化学物質」PFASに関する5つの衝撃的な事実
焦げ付かないフライパン、雨を弾くジャケット、崩れにくい化粧品。私たちの暮らしは、数々の便利な製品に支えられています。しかし、その「便利さ」の裏側に、「PFAS(ピーファス)」または「永遠の化学物質」と呼ばれる物質が潜んでいることをご存知でしょうか。
これは、私たちの知らないうちに生活の隅々にまで浸透し、環境や健康を静かに蝕む「令和の公害」とも呼べる問題です。この記事では、PFASに関する5つの衝撃的な事実を解き明かし、その正体に迫ります。
Contents
「テフロン」だけじゃない。ハンバーガーの包み紙から化粧品まで、意外なほど身近に潜んでいる
PFASと聞くと、多くの人がフライパンの「テフロン加工」を思い浮かべるかもしれません。しかし、その用途は驚くほど多岐にわたり、私たちの日常生活のあらゆる場面に存在しています。
• 食品の包み紙と紙ストロー
ハンバーガーの油が染み出さない包み紙や、モスバーガーのポテトが入っているような袋、そして飲み物でふやけない紙ストロー。これらの耐水性・耐油性を実現するために、PFASによるコーティングが施されている場合があります。
• 炊飯器やホットプレート
フライパンだけでなく、「こびりつかない」ことを謳う多くの調理器具にPFASが使われています。炊飯器の内釜やホットプレートの黒い表面、さらには「マーブルコート」や「ダイヤモンドコート」といった名称のフッ素加工製品も同様です。
• ウォータープルーフ化粧品
崩れにくいBBクリームやウォータープルーフタイプの化粧品の成分表示に「フルオロ」という言葉を見つけたら、それはPFASが含まれている可能性があります。専門家によれば、これらの成分は非常に落ちにくく、「クレンジングでも落ちずに肌に残ることがある」と指摘されています。
• 半導体の洗浄剤
PFASは家庭用品だけでなく、工業用途でも不可欠な存在です。特に、精密機械である半導体の製造過程では、洗浄剤として文字通り「ジャブジャブ」と大量に使われます。このため、半導体工場の周辺地域では、環境汚染が深刻な問題となるケースが報告されています。
平和な家庭のフライパンは、もともと原子爆弾開発のために生まれた
家庭で当たり前のように使われているテフロン加工のフライパン。その技術が、実は第二次世界大戦中の原子爆弾開発、すなわち「マンハッタン計画」から生まれた軍事技術だったという事実は、あまり知られていません。
当時、原子爆弾の原料となるウランを濃縮する過程で、強力な腐食性を持つ物質を扱う必要がありました。この腐食から施設のパイプを守るためのコーティング材として開発されたのが、テフロン(PFASの一種)でした。
そして、そのテフロンを滑らかに塗布するための助剤として、後に毒性が厳しく指摘されることになるPFOAが使われたのです。
戦後、この軍事技術は平和利用として家庭用品に応用され、「焦げ付かない魔法のフライパン」として爆発的に普及しました。私たちのキッチンの平和な光景の裏に、このような歴史が隠されているのです。
この事実は、PFASが単なる便利な化学物質ではないことを物語っています。
体内に入ると「相乗り」して、数十年も排出されない
PFASが「永遠の化学物質(フォーエバー・ケミカル)」と呼ばれる最大の理由は、自然界でほとんど分解されず、人間の体内に入ると極めて排出されにくい性質を持つためです。
代表的なPFASであるPFOAの体内での半減期(量が半分になるまでの期間)は3.8年、PFOSは5.4年とされています。これは、一度体内に入ったPFASの95%が排出されるまでに、約40年もの歳月がかかることを意味します。
なぜこれほど長く体内に留まるのでしょうか。専門家は、そのメカニズムを「トラックの助手席に乗ってしまう」という比喩で説明します。私たちの体には、老廃物などを肝臓や腎臓に運んで排出させる「胆汁」というトラックのような仕組みがあります。
しかし、PFASはこの胆汁に乗ると、目的地で降りることなく、再び体内に吸収されて循環し続けてしまうのです。この「腸肝循環」と呼ばれる現象により、PFASは体内に蓄積していきます。
国は「健康への影響は不明」と言うが、国内外の研究は深刻なリスクを示している
PFASの健康への影響について、日本の行政は「病気との関連性はまだはっきりと分かっていない」という慎重な姿勢を崩していません。
しかし、国内外の研究機関からは、そのリスクを警告する報告が次々と上がっています。
映画『ダークウォーターズ』の題材となった集団訴訟
アメリカの化学企業デュポン社を巡る大規模な住民訴訟では、PFAS(PFOA)への曝露と、腎臓がん、精巣がんを含む6つの深刻な疾病との関連性が法的に認められました。
WHO(世界保健機関)の評価
WHOの専門機関である国際がん研究機関(IARC)は2023年、PFOAを「ヒトに対して発がん性がある」物質(グループ1)に分類しました。これはアスベストやたばこの煙と同じ最も危険度が高い分類です。一方、PFOSは「ヒトに対して発がん性がある可能性がある」物質(グループ2B)に分類されています。
日本の国家プロジェクト「エコチル調査」
日本の環境省などが進める大規模な疫学調査「エコチル調査」から、母親の血中PFAS濃度が高いと、流産のリスクが有意に増加するという研究論文が発表されています。
大阪の工場周辺で起きた異常事態
大阪にあるダイキン工業の工場近く、患者数500人規模のある診療所では、統計的に0人か1人であるはずの腎臓がんの患者が、10人も見つかりました。この衝撃的な事実は、地域住民の間に深刻な不安を広げています。
このような科学的知見と行政の姿勢のギャップについて、専門家は警鐘を鳴らしています。
日本は絶対に有害と分かるまで使い続けようという傾向で、大きな公害問題になってから対処する姿勢にあることを踏まえて、今回のピーファスが同じ轍を踏まないようにしたいですね。
日本の「安全な水」は、世界の基準では「安全ではない」かもしれない
私たちは日本の水道水を安全だと信じていますが、PFASに関しては、その「安全」の基準が国際的に見て非常に緩いという現実があります。
現在、日本の水道水におけるPFAS(PFOAとPFOSの合計値)の暫定目標値は「50 ng/L(ナノグラム・パー・リッター)」です。この数値は、かつてのアメリカの基準値(70 ng/L)を参考に、「日本人はアメリカ人より体が小さいから」といった、どこか安易な雰囲気で設定された経緯があります。
しかし、そのアメリカは科学的知見の蓄積に基づき、2024年に基準を「4 ng/L」へと大幅に厳格化しました。これは事実上、「検出されてはならない」レベルの厳しい数値です。
この基準に照らすと、日本の状況はどう見えるでしょうか。例えば、滋賀県守山市の水道水から「30 ng/L」、隣接する近江八幡市では「19 ng/L」のPFASが検出されたことがあります。
これらの数値は日本の基準(50 ng/L)では問題とされませんが、アメリカの新基準(4 ng/L)から見れば、それぞれ7倍以上、4倍以上という高い値なのです。日本の「安全」は、世界の「安全」とは乖離し始めているのかもしれません。
PFASの相談外来(大阪府内)一覧
検査結果で高値が出た方、また不安を感じている方のために、大阪府内にはPFAS相談外来があります。
| 医療機関名 | 住所 | 電話番号 |
|---|---|---|
| 相川診療所 | 吹田市南吹田3-32-19 | 06-6382-6770 |
| うえに生協診療所 | 大阪市中央区玉造1-8-7 | 06-4304-3120 |
| 此花診療所 | 大阪市此花区酉島1-1-25 | 06-6463-2222 |
| のざと診療所 | 大阪市西淀川区野里5-3-34 | 06-4808-8151 |
| ファミリークリニックあい | 大阪市淀川区西三国1-3-29 | 06-6150-2051 |
| ファミリークリニックなごみ | 大阪市東淀川区豊里4-2-17 | 06-6300-5517 |
| 姫島診療所 | 大阪市西淀川区姫島2-13-20 | 06-6473-5151 |
| 千北診療所 | 大阪市西淀川区大和田5-5-3 | 06-6473-1864 |
| 茨木診療所 | 茨木市元町4-16 | 072-624-3977 |
まとめ|私たちにできること、そして未来への問い
ここまで見てきたように、PFASは私たちの知らないうちに生活の隅々にまで浸透し、その影響が懸念される「令和の公害」とも言える問題です。
個人でできる対策として、フッ素加工のフライパンを鉄やセラミック製のものに買い替える、活性炭フィルター付きの浄水器を使用するといった方法があります。
しかし、汚染源の特定や排出規制といった根本的な対策は、個人でできる範囲を超えています。これは社会全体で取り組むべき課題なのです。
この「永遠の化学物質」の存在を知った今、あなたは身の回りの製品をこれまでと同じように見ることができるでしょうか?
