日本の風習

鏡開きの文化と御神酒に込められた想い

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1月11日は、日本の伝統行事である「鏡開き」の日です。お正月に神様にお供えした鏡餅を下げて食べることで、神仏に作物への感謝を示し、今年1年の無病息災を祈る風習があります。

 

この行事は、古くから日本人の生活と深く結びつき、宗教的な意味合いと実用的な意味合いが融合しています。本記事では、鏡開きの由来や背後にある文化的な意義を掘り下げます。

鏡開きの歴史と背景

鏡開きは武家社会に由来すると言われています。鏡餅が武士の「具足開き」に関連しており、戦場で使う甲冑の安全を祈願するために始まったものが一般家庭にも広がりました。また、「鏡」という言葉は「円満」や「調和」を象徴しており、鏡餅の形状にもその意図が込められています。

 

神仏に供えられた鏡餅を食べる行為は、神様の力を取り込み、自分自身を新たに活性化させる意味があると言われています。この考え方は、神社の祭典後に行われる「直会(なおらい)」の文化とも通じています。

直会と鏡開きの関係

直会とは、神事の最後に行われる儀式の一環で、神様に供えたものを参拝者が共にいただく行為を指します。この行為は、単なる宴会ではなく、神と人が一体となる「神人合一」を目指す重要な行事でした。

 

鏡開きもまた、神様に供えた鏡餅を食べることで、神様の力や恩恵をいただくとされます。直会が神事の最終段階であるように、鏡開きもお正月という神聖な期間の締めくくりとして行われる点で共通点があります。

 

特に御神酒(おみき)と呼ばれる神様への供え物の酒には、「神気(しんき)」が宿るとされ、この神気を体内に取り入れることで精神的な浄化や成長を図る意図が含まれています。

鏡餅の形とその象徴性

鏡餅はその名の通り、鏡を模した丸い形状が特徴です。この形状は円満や調和を象徴しており、日本文化における「円(えん)」という概念を体現しています。また、大小二つの餅を重ねることで、天地や陰陽の調和を表現しているとも言われます。

 

鏡餅の上には、橙(だいだい)を載せることが一般的です。この橙は「代々」繁栄することを願う縁起物とされています。

御神酒と「巳様(みいさま)」

御神酒は「おみき」と呼ばれ、その語源には古代の信仰が反映されています。古語では酒を「気(き)」と呼び、酒は神の気を宿す神聖なものとされていました。

さらに「み」とは、古代においては「巳(み)様」、つまり蛇を象徴する言葉と解釈されます。奈良県の大神神社(おおみわじんじゃ)では、三輪山をご神体として崇めており、「巳様」が信仰の中心に位置しています。

 

蛇は再生や生命力の象徴とされ、酒と結びつけられることで、人間の内なる気を解放し、浄化や再生を促すと考えられていました。このような背景から、御神酒を飲む直会では、自分の中の未熟な部分や抑圧された感情を解放し、それを自己成長の糧とする意図がありました。

鏡開きと現代における意義

現代において、鏡開きは主に家庭で行われる伝統行事として残っていますが、その背景にある精神性や文化的な意義を理解することで、より深い意味を見いだせます。

鏡餅を食べる際の心構え

  • 感謝の気持ちを持つ
     鏡餅を食べることは、神仏や自然への感謝を表す行為です。
  • 縁起を担ぐ:
    お餅を食べることで、無病息災や家族の繁栄を祈ります。
  • 自分自身を見つめ直す:
    鏡に映る自分を見つめ直すように、この行事をきっかけに新たな一年の目標を考える機会とするのも良いでしょう。

欲望との向き合い方

鏡餅や御神酒に込められた「気」は、時に人間の欲望を炙り出すものとも言えます。そのため、鏡開きを通じて、感謝と共に自らの内面を見つめ直し、次のステップへの課題を見つけることが重要です。

まとめ

鏡開きは、日本文化の深い精神性や伝統を映し出す重要な行事です。単に餅を食べるだけではなく、神様への感謝と共に、自分自身の内面を見つめ直す絶好の機会でもあります。この行事を通じて、家族や周囲との絆を再確認し、新たな目標を考える場として大切にしてはいかがでしょうか。

鏡餅を囲む家族団欒の時間を楽しむと共に、その背後にある文化や歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

 


慎雪(しんせつ)

慎雪(しんせつ)

子どもの出産を機に、本当の食とはなにかについて探求を始める▶本来の食について学ぶ▶食の大転換▶家族全員体質改善▶ストレスフリーの脱砂糖中毒、サプリなし、冷え性解消▶体の内側から整え、細胞の若返りをはかり いつまでも美しく健康でいられるための食の提案をします!

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